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進化は、加速する
進化には、ミッシング・リンクが存在する。
例えば、万物の霊長として地球を我が物顔でのさばっている人類だが、あらゆる生命を生み出した海からどうして哺乳類が陸を目指したかがわからない。また、サルから人類にどうして枝分かれしたのかの決定的なポイントがわからない。そこにあったのは激烈な環境の変化か、はたまた強烈な欲求か。
僕たちは、今、新しい生命体のミッシング・リンクを目撃しようとしているのかもしれない。
そこに、二つの魂があった。出会った。想いは熟成し、やがて二つの魂たちは共通の目的地を目指すに至った。
インディ・シーンで孤高のヴォーカリストとして知られていたYUNA。突き抜ける歌声とナイーブな感性。しかし、孤高でいたかったわけではない。ただ、曲に込める思いがほとんど誰とも共有できなかっただけだ。7年前、知人を通じてSUGIZOと知り合った。出会った途端にうち解けた。音楽の話、世界情勢の話、天文学の話、気功の話、プライベートな悩み。年齢も少し離れ、生まれた場所も違っているのに、SUGIZOと一緒にいると話が止まらなかった。不思議だった。そして、7年の年月がたち、運命はもっと不思議な出来事を用意していた。
SUGIZO。ライヴハウスから東京ドームへ。ロックバンドLUNA SEAのコンポーザー、ギタリストとして伝説を作り上げ、音楽制作、メディアへのアプローチ、あらゆる意味で破壊と創造を繰り返してきた。その波瀾万丈。彼は、転がりながら、次第に気づいていく。エゴを満たすことがロックなんだろうか。時代に反逆していればロックンロールなんだろうか。いや、ロックには、そして音楽にはもっと大きな使命があるはず。そして、彼は、2004年、新たな進化を目指すことを決意した。YUNA……。それは、ずっと求めていた「自分の心の声」だった。
虚空を旅するために融合したユニット。「The FLARE」と名付けた。
地球を生み、生命を生んだ太陽。その爆発のエネルギー。自分が生きていること、 その自分が作りたくて伝えたくてたまらない衝動。その思いを100万度に達する彼方のドラマに託した。
YUNAは、言った。
「闇多き時代だからこそ、光の歌を歌いたい。ポジティヴな歌、それがみんなに届けば、笑顔が増える。笑顔が増えれば、ハッピーなエネルギーは波紋のように広がっていって、やがて地球という星にも宇宙にもポジティヴなエネルギーが返せていく。そうなって初めて、現代の人間は地球に生きている意味があるんじゃないかな……」。
SUGIZOは、言った。
「どれだけ物質を手にしても、本当の幸せは手に入らない。それが、ようやくわかった。だから、The FLAREはミニマムでプリミティヴなところから始めたい。サウンド的にはこだわりにこだわるけど、伝えたいことやメロディはそぎ落としたシンプルが基本。子供にも歌えるポイントからスタートして、どれほど斬新な音世界を作れるかが、俺たちが挑戦すべきことなんだと思う……」
二人は、壮大な計画を立てていた。
自分たちの音楽で、すぐさま時代を変えられるとは思わない。そう思いこむほど、勘違いしているつもりはない。しかし、自分たちの音楽を聴いてくれたリスナー、その人たちが子供を生み、その子供が30歳になったときに「地球の新たなヴィジョンを生み出してくれればいい」のだと思っている。「アポロ計画」ならぬ、「フレア計画」とでも呼べばいいのだろか。
これを、ドン・キホーテの愚挙と感じるか。それとも、アームストロング船長の勇気ととらえるか。それは、受け手次第。
ともあれ、The FLAREと命名された船体から、三つの着陸機が太陽に向かって切り離されていったことは事実。それが、いったいどんな画像を送ってくれるのか、僕は受信機の前で手に汗を握りながら待っていることにしよう。
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